1-7 スタイリストとお金の問題



パーソナルスタイリストという仕事には確かにやりがいがあります。「人を素敵にする仕事」はとても楽しいものです。

副業的にパーソナルスタイリストに取り組み、月5〜10万円くらいを目指すのであれば、そこまでハードルは高くありません。

ただ、この仕事を本業に選ぶのであえば、「本当にこの仕事だけで生計を立てられるのだろうか?」シビアに考える必要があります。

スタイリスト業はマンツーマンビジネスである




スタイリスト業というのは、基本的にはマンツーマンビジネスです。お客さまにショッピング同行をすることで、初めて利益が発生します。

しかも1日にショッピング同行できる人数は限られています。せいぜい1〜2名が限界です。つまり1ヶ月フルに働いたとしても、最大で60本のスタイリングしかできません。

そうなると、1本のスタイリング単価をいくらに設定するのか。これがとても大切になります。

パーソナルスタイリストの中でも、2〜3時間のショッピング同行を1.5万円程度に設定している人もいれば、僕のように10万円以上の価格設定をしている人もいます。

もし1本あたりの単価を1.5万円に設定したら、1ヶ月の売上は最大で90万円になります。(1日2名×30日=60名×単価1.5万円) 数字だけ見ると、なかなか良さそうな気がしますが、こんなペースでスタイリングをしたら体を壊してしまいます。

週に2日は休むとすると、23日間×2本=46本×1.5万円=69万円になります。これでもなかなか良さそうですよね。

ここでもう1つ大きな問題に直面します。「1日2本のスタイリングをどのように集客するのか?」という問題です。

もっとも難しいのは集客活動




スタイリスト業の一番の難しさはこの「集客」にあります。お客さまを集めることがものすごく難しいのです。誰もがここで苦労をします。お客さまが集まらなければ、いくらセンスが良くても、1円にもなりません。

それなのに、どのパーソナルスタイリスト養成スクールも、この集客方法についてほとんど教えてくれません。スタイリングの技法を中心に教えるのです。しかし集客の方法が分からなければ、独立してもお客さまを獲得することができません。

独立する前に、いかにビジネスモデルをしっかりと確立しておくのか。これがものすごく大切です。

ちなみに、僕も10年前は1回のショッピング同行の金額を1.5万円に設定していました。そうなると、1ヶ月に必要な生活費を30万円と考えると、最低でも20人は接客しなくてなりません。

ちなみに月に20名の集客というのはものすごーーーーく難しいです。今の僕でも難しいと思います。

どんなに多くても10名程度が限界です。つまり1.5万円の単価だとしたら、月に15万円しか稼げないのです。これは大問題です。だから多くのパーソナルスタイリストは独立しても長く続かないのです。

いくらに価格設定をするのか?


僕も独立してからこの事実に気づきました。そして途方に暮れました。しかもスタイリングというのは、それなりに気力と体力を使うものです。月に10本は正直しんどいです。クタクタになります。僕の理想とする働き方ではありませんでした。

そこで思い切って、価格を上げることにしました。まずは1.5万円から3万円へ。倍にしました。3万円だと、10名集客で30万円。ギリギリ生活費がまかなえます。

次に5万円に値上げしました。そうすると6本で30万円に到達します。6本の集客だったら、工夫をすればなんとかなるものです。その後も、少しずつ単価を上げ、現在は1本あたり12万円の単価に設定しています。

大切なのは、「1本あたりのスタイリングをいくらに設定するのか」ということです。これを安い金額に設定してしまうと、いくら働いても決してビジネスが安定しないからです。

価格を上げたら売れなくなるのか?




ここでもう1つ考えるべきことがあります。「値上げをしたらお客さまが来なくなるのではないのか?」という懸念です。

僕も最初は値上げをするのがとても怖かったです。値上げをしたら、もうお客さまは来なくなるんじゃないのかと。でも僕はもうスタイリストを辞める覚悟で、思い切って値上げをしました。

でも、結果的にお客さまの数は減りませんでした。むしろ増えました。これはなぜかというと、安すぎるサービスというのは、かえって「質」を疑われてしまうからです。

「安かろう悪かろう」という言葉がありますが、安い価格だと、逆に不安を覚える人もいます。一方で、高いものにはそれなりの理由があるため、あえて高いものを買おうという人たちもいます。

1.5万円よりも3万円の方が、かえって安心できるというお客さまが多かったのです。

価格を上げると、客層が変わる


そして、価格を上げることのメリットはもう1つあります。それは「客層が変わる」ことです。1.5万円のお客さまと、3万円のお客さまは明らかに違います。価格帯を上げるほど、お客さまの質が良くなります。

「安いから買う」というお客さまの中には、横柄な人も多かったですし、投げやりな人も少なくありませんでした。それが単価を上げることで、シンプルに「良いお客さま」が集まるようになります。

スタイリストというのも接客業です。できれば、人柄の良いお客さまと接していたいものです。僕の現在のお客さまは、ほとんどが経営者や医師、弁護士など、ビジネスの世界でバリバリに活躍する人ばかりです。

おそらく、年収で3,000万円以上の方しかいないはずです。そうじゃないと、1回のサービスに10万円以上払うことはできないからです。そしてこのようなハイクラスのお客さまは、ものすごく人柄が良いです。横柄な人はまったくいません。

このように僕が単価を上げるべきだと考えているのは、価格帯によってお客さまの層が変わること。そして少ない人数でも利益が出やすくなるからです。

少しずつ単価を上げていく


まず目指すべきなのは「月に5名集客すること」です。

独立したばかりの頃は、まだまだ自分自身のスキルも低いので、まずは1.5万円の価格設定で始めてみる。

この価格で月に5名が集客できるようになったら、次は3万円に値上げする。3万円でも5名集客できるようになったら、5万円にする・・・ このように少しずつ価格帯を上げてみてください。

僕の場合、1年目は1.5万円。2年目は3万円。3年目で5万円。5年目で8万円。8年目で10万円・・・ このように少しずつ単価を上げてきました。まずは3万円〜5万円の単価を目指してください。

一気に値上げをするのではなく、お客さまの反応を見ながら少しずつ値上げをしていくと良いでしょう。

お客さまに選ばれるコンセプトを持つ


スタイリストとして長く活動を続けるためには、自分のサービスにいくらの値段を付けるのかが大切です。

そして高い値段を付けるからには、他のスタイリストにはない「専門性」が大切になります。

僕だったら「経営者専門」にすることで、お客さまに価値を感じてもらっています。あなたも独自のコンセプトを設けることで、高い価格帯でも販売することができるようになります。

オンリーワンのスタイリストを目指し、しっかりとお金の設計をしながら、パーソナルスタイリスト業に向き合ってみてください。

※「独自のコンセプトの立て方」については後ほどしっかりと解説します。

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