5-4 ショッピング同行①



「ショッピング同行」はパーソナルスタイリストの仕事の中でもメインと呼べるものです。

それだけに理解しておくべき項目はかなりのボリュームになります。何度も読み返すことで理解を深めてください。

どのようなコーディネートを目指すべきなのか?




これまでに何度もお伝えしていますが、お客さまというのはファッション誌に出てくるような、トレンド満載のおしゃれになりたいわけではありません。

むしろこのようなスタイルに対してお客さんは苦手意識を持っています。もっとリアルな、等身大のファッションを臨んでいます。

ファッション業界の人たちが考える「おしゃれなファッション」を目指すのではなく、カウンセリングの際に明確になった、「なぜファッションを変えたいのか」「どんなファッションに変わりたいのか」このような材料を踏まえながら、新しい着こなしを提案することが大切です。

テーマは「シンプル」「ベーシック」「自然体」「等身大」このような言葉に集約されます。

いかにも「おしゃれを頑張っている感」を出さないように、お客さまの半歩先を描くような着こなしを提案することが大切です。

お客さまの2つのタイプ


まず覚えておいてもらいたいのは、お客さんには2つのタイプの人がいるということです。

①真面目、保守的、あまり社交的ではないタイプ

②明るい、社交的、変化に柔軟なタイプ


それぞれのタイプによって、どのようなファッション提案をすべきなのかは大きく変わります。

①真面目なタイプ

前者の真面目なタイプの人は、一気にファッションを変えてしまうと、それだけで不安を感じてしまいます。あまり冒険的なファッションではなく、ベーシックな着こなしから提案しましょう。少し地味なくらいで丁度いいです。

一気にファッションを変えすぎると、本人の気持ちが追いつかずに、すぐに元のスタイルに戻ってしまいます。少しずつ階段を登るように、おしゃれな状態を作り上げていくことが大切です。

②明るいタイプ

一方で後者、割と明るくて社交的なタイプの人には、少し冒険的な要素を取り入れた方が良いでしょう。あまりにベーシックすぎると、本人が物足りなさを感じてしまうからです。ちょっと攻めるくらいでも全然OKです。

このような人は変化に柔軟なので、新しい提案にこそ喜びや楽しさを感じます。お互いに楽しみながら新しいスタイルを築き上げてください。

カウンセリングで本人の人柄を理解する


カウンセリングの際に、本人の性格をしっかりと読み取っておくことが大切です。それによって提案する内容が大きく変わるからです。

ただし、提案する着こなしの軸は変わりません。シンプル&ベーシックが基本です。そこにアクセントの要素をどれくらい加えるのかで、差を付けると良いでしょう。

②のタイプの人であれば、ホワイトジーンズやアクセサリー、帽子、柄物などのアクセント要素を適度に取り入れると良いでしょう。

ショッピング同行は準備が8割




ショッピング同行を行う前には、必ず事前リサーチをします。間違っても、いきなりお客さんと一緒にお店を回るようなことはしないでください。入念に準備をした状態で、お客さんと一緒にお店を回るようにしましょう。

お客さんに似合いそうな服、試着をしてもらう予定の服は事前にキープしておきましょう。サイズの在庫があるかどうかも店員さんに聞いて、確認を取っておいてください。

ちなみにキープ用の服はなるべく多めに用意しておくと良いでしょう。キープしておいた服が少ないと、それがお客さんに上手くハマらなかったときに苦労します。そのため、様々なバリエーションの服を用意しておくことが大切です。

店員さんには事前に自己紹介をしておくこと




ちなみに、店員さんとの関係について、少しお話をしたいと思います。

大前提として、店員さんは僕たちが何者なのかを知りません。まさかスタイリストだとは思ってもいません。事前に説明をしておかないと、あやしまれますし、場合によってはイヤな態度を取られることもあります。

店員さんにとって、僕たちパーソナルスタイリストというのは、微妙な存在です。「大したこともないクセにスタイリストを気取りやがって」と思っている店員さんもたくさんいます。

僕もこの仕事を始めてから数年、そのような視線をイヤというほど感じました。結構これはツライ体験ですので、覚悟しておいてくださいね(笑)

でもそれは仕方がないことです。セレクトショップの店員さんはセンスがいいです。僕たちよりもおしゃれな人もたくさんいます。「自分だってそれくらいの提案はできるよ!」と思われて当然です。

でも考えてみてください。その店員さんはあなたとはまったく土俵が違います。店員さんは、お店があって、商品があるからこそ、初めて服を売ることができます。自分で起業して服を売っているわけではありません。

あなたは違います。何もないところから、ビジネスを始めて、お客さんを自分の力で獲得したのです。あなたの方が数倍、ビジネスにおける経験値が高いです。生き抜く力が強いです。だから自信を持ってください。

店員さんに負けないセンスは少しずつ築いていけばいいのです。

店員さんと良い関係を築いておく


とは言っても、店員さんとは上手に付き合うことが大切です。ここでギスギスした関係になってしまうと、肝心のショッピング同行がスムーズに進みません。お互いに信頼関係が築けていると、店員さんは僕たちの心強い味方になってくれます

事前準備の際に、店員さんに挨拶をしに回りましょう。名刺を持って店員さんに声を掛けます。

「私、スタイリストの大山と申します。この後、お客さんを連れてこちらでお買い物をさせて頂きたいと思っています。ご迷惑おかけすると思いますが、色々とアドバイスを宜しくお願いします」

このように、なるべく低姿勢で店員さんに接してください。

僕は独立して10年が経ち、店員さんのほとんどは僕より年下です。それでもものすごく低姿勢で接しています。「お邪魔してすみません」という気持ちでやっています。

ここで横柄な態度は絶対に取ってはいけません。店員さんを味方に付ける。そうすると、試着の際にも良い部屋を使わせてくれたり、僕たちの接客をサポートしてくれるようになります。これが最高の関係性と言えます。

店員さんと健全なコミュニケーションを築いていく。これを常に忘れないでください。

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