いよいよ実際の接客です。
当日は分かりやすい場所でお客さまと待ち合わせをして、服を準備してあるお店へと移動します。
※僕の場合は銀座三越の入口前にいつも集合にしています。
お店に着いたら、まずはお客さまと軽く店内を回ります。色々な服を手に取りながら、「こういう服がおすすめです」「なぜなら◯◯だからです」という形で服の解説をします。さらりと店内を見たあとに、試着室へ向かいます。
試着室には下見の段階で準備しておいた服がズラリと並んでいる状態です。ここでお客さんはちょっとした驚きや感動を覚えます。「自分のために服が選んである!」これには多くのお客さまのテンションが一気に上ります。
あとは用意した服をどんどん試着してもらいます。まずはシンプルなアイテムから着てもらいましょう。そして少しずつクセのあるアイテムへと移っていくとスムーズです。
コーディネートの方法は本で学ぶ
こちらのオンラインスタイリスト養成講座では、あえて「コーディネートの技法」について深くお伝えすることはありません。これは誰かに学ぶものではなく、自分で研究して、常に向上させていくものだからです。
どのようなファッション提案を行っていくのか。それがあなたのサービスの特徴になります。そこを僕のやり方で統一してしまったら、あなたがスタイリングをする意義が薄れてしまいます。
お客さまにどんなアイテムを提案するのか。どのようにコーディネートするのか。これは無料スタイリングを通しながら常に技術を磨いてください。
といいつつも、少しだけヒントをお伝えしたいと思います。
私たちがお客さまに提案すべきファッションというのは、シンプルでベーシック。奇をてらわないスタイルだということをこれまでにもお伝えしました。

私たちが参考にすべきなのはファッション雑誌ではありません。ファッション指南本に出てくるような、シンプルでベーシックなスタイルこそ、私たちがお客さまに提案すべき着こなしと言えます。
まずは徹底的にファッション指南本を読み込んで、あなたのスタイリングの基盤を作ってください。
男性でしたら、僕の著書である「最強の服選び」とMBさんの「最速でおしゃれに見せる方法」この2冊をしっかりと読み込めば十分です。男性のファッションは、ある程度の「型」が決まっていますので、そこまで難しくありません。
女性の場合は大草直子さんの「STYLING&IDEA」、三尋木奈保さんの「My Basic Note」、山本あきこさんの「毎朝、服に迷わない」これらの著書を読み込んでください。
女性のファッションには様々なスタイルが存在するため、読むべき課題図書は男性よりも多いです。体型や年齢によって、様々なファッション指南本が出ていますので、これらを教科書として読み込んでおくと良いでしょう。
あくまで自分流のコーディネートを確立することが大切ですが、まずはベースの知識としてファッション指南本を徹底的に読み込み、着こなしを再現できるレベルにまで到達してください。
3分間の法則

続いて試着です。
お客さまに試着をして頂く前に、必ずこのように伝えておいてください。
「どれもあまり着たことがない服だと思いますので、最初は見慣れないかもしれません」
「でも安心してください、3分くらいすると少しずつ見慣れてきます」
どうしても最初のうちは、お客さんも新しい服に違和感を覚えます。今までに着たことがないので、目が慣れていないのが原因です。それを事前に説明しておくと、お客さんの心配を取り除くことができます。
また、試着室から出てきたお客さまを見た時のこちらのリアクションですが、あまり大げさにしないでください。なんでもかんでも「お似合いですね」と言われることに、嫌気がさしている場合もあります。ですので、リアクションはあまり大きすぎない方が信頼感が高まります。
■あっ、いいですね。
■よく似合っていますね
あまり大げさすぎずに、サラリと伝えてください。
そして、あまり似合っていなかった時には、正直に伝えてください。
「すみません、コレはイマイチでしたね」
「僕の選び方が良くなかったですね」
このように言葉を選びながら、あまり似合ってないことを伝えると良いでしょう。
正直に伝えることが大切です。なんでもかんでも「お似合いですね」と言うのはやめましょう。お客さんも服が似合っていないことくらい分かります。そこは嘘を付かない。自分の責任にして、他の服を提案するようにしましょう。
事前準備がハマらなくても焦らない

事前に用意していた服がお客さんにハマらなかった・・・ そんなことはよくあります。経験が少ないうちは特にそうです。そういう時には、売り場の中から改めて似合いそうな服を選んで、お客さまに試着してもらいます。
何度も試着を繰り返していくうちに、「こういう服はハマりそうだな」「こういう服は似合わなそうだな」それが少しずつ分かるようになります。焦らずに、会話を楽しみながら試着をしてもらってください。
それでも上手く行かなかった時には、お店を変えてみてください。環境を変えると一気に道が開けることもあります。
色々と手を尽くしたけど、お客さんの満足のいくサービスが提供できなかった・・・ もしそうなったとしたら、素直に謝ればいいのです。そしてサービス料を頂かない。それで十分です。何も恐れることはありません。
ちなみに僕はこれまで1,000名以上の方のコーディネートを担当しましたが、このようなことは1度しかありませんでした。ものすごくレアケースだと思います。
僕はいつも「サービス料がもらえないかもしれない」という覚悟を持ちながらスタイリングをしています。お客さんが納得しないなら、料金を頂くつもりはありません。そういう覚悟さえ持っていれば、あらゆるケースが起きても、そこまで慌てることはありません。
焦らずに、堂々とお客さまをスタイリングするように心がけてください。
コーディネートの方法も伝える

ショッピング同行をしながら、買った服をどのようにコーディネートをすればいいのかについても、しっかりと伝えるようにしてください。
試着した状態で写真を撮って、サービス後にお客さんに送ってあげると分かりやすいですし、とても喜ばれます。
僕たちスタイリストがいなくてもお客さま自身でおしゃれな状態をキープできるように、しっかりと説明しながら服を提案していくことが大切です。
1回のショッピング同行で、3〜5パターンのコーディネートが組めるようにアイテムを買い揃えると良いでしょう。
解散まで

試着を繰り返し、ある程度の目星が付いたら、気に入った商品だけを取り置きして、次のお店に向かいます。
2〜3店舗回ったのちに、取り置きしておいた中で、どれを実際に買うのかを決めます。これはお客さんと話し合いをしながら決めましょう。あとは取り置きしたものを実際に購入して解散です。
これがショッピング同行の全体の流れになります。
ショッピング同行の時間は短すぎても、長すぎても満足度は下がります。トータルで2.5〜3時間で終わるように意識してください。
顧客ノートを付ける

ショッピング同行が終わったら、すぐにお客さまデータを残すようにしましょう。ノートを取るのも良いですし、デジタルで記録するのでも構いません。
僕の場合、実際に買った商品やご本人の写真を載せたいので「evernote」で管理しています。これまでのお客さまのデータ検索も簡単にできますので、こちらを使うと良いでしょう。
▼evernote
https://evernote.com/intl/jp/
顧客ノートには以下の情報を書き込みます。
■身長、体重、それぞれのアイテムのサイズ
■体型の特徴
■人柄の特徴
■どのような会話をしたのか
■買った服(文字と写真)
■反省点・課題
このような情報をまとめておくと、そのお客さまがリピートしてくださった時にとても便利です。ノートを読み返せば、当時の記憶が蘇ってきます。
また、反省点や課題を書き込むことで、次回のスタイリングにも失敗を活かすことができます。必ず顧客ノートを書くという習慣を付けるようにしてください。
この習慣が必ずあなたを更なる高みへと成長させてくれるはずです。
→次のページへ